切迫する日本の電力について

2022年7月、北海道と東北を経由し、首都圏へ最大で200KWの海底ケーブル送電線を10年がかりで構築する計画が経済産業省から発表されましたね。

首都圏の過密する人口と商業施設に消費される大量の電力に対し、今後も北海道の広大な土地に建設されるメガソーラー発電や、理想的な強い風が吹く西海岸に、北海道から東北にかけての海岸線や海上に、次々と数千個の風力発電を設置する電力を、首都圏に効率よ
く送電する為の新たな大規模な海底送電線です。

北海道と青森間の津軽海峡には40年前からすでに電力送電線である海底ケーブルが設置されていて、緊急時に北海道電力から本州への送電を始めいていますが、ますます増大する首都圏の電力需要に加え、急速に普及する電気自動車のとても大きな電力需要に間に合わせる送電設備として不可欠なものになると思っています。

北海道と青森間の高圧送電線ケーブルは、更に2線を追加していますが、海水の中の海底ケーブルですから直流に変換されて送電し、受電側でもう一度50ヘルツの交流に変換し直しています。

今回の経済産業省が企画する送電線も海底ケーブルですから、海水に水没するケーブルは直流に変換した高圧送電線です。
そのまま交流電力で海底ケーブル送電をすると、送電距離が長いためのL(インダクタンス)による電力の減衰と、導体である海水とのC(キャパシタンス)による電力ロスが起きてしまう為、直流に変換しています。

僕の考えでは、多くの原発が停止している現状は、すでに日本の発電所の電力は、電力需要に対して切迫している現状ですから、完成するまでに10年も掛かっていては間に合わない気がしています。
一時的でもある程度原子力発電所を再稼働しなければ、きっと今後の数年間は電気自動車の普及も影響して、地域的な停電がある程度発生するのではないでしょうか。

日本は電気自動車の技術や生産能力があるのに、日本の発電所が足りない理由で電気自動車の充電スタンドが少なく、今後の生産体制が世界から大きく遅れてしまいそうです。

後書き
CO2を排出しないソーラー発電や風力発電はクリーンエネルギーとして推奨する発電システムですが、僕の考えとしては、そのどちらもダメなどうしようもない電力です。

ダメな理由を分かりやすく説明します。
ソーラー発電は太陽の日差しがとても不安定で起電力も不安定なうえに、夜には停電する電力です。
風力発電も同じように風によって起電力が不安定な電力であり、風の無い時に停電しますから、電力需要家に対して安定した発電をする訳ではないダメな困った電力なのです。

僕は、「クリーンエネルギーを進めるのであれば、貴方の家も会社も工場も、頻繁に停電しますが、それでも良いのですか」と、皆さんに伺いたいのです。

今現在は、そのダメな電力をどうやって使用しているか説明します。
風力発電とソーラー発電は、その起電力が最大102Vを超えてしまわないようにインバーターという電源変換装置で電圧調整をして電力会社に売電をしたり、6600Vの高圧送電線に電力を売電していますが、その刻々と電圧が変化する電力を、電力会社側で受け入れて、火力発電所が火の強さをリアルタイムに調整して蒸気タービンの発電力を下げたり上げたりして需要家へ常に100Vの電圧になるように一生懸命電圧調整をしています。

しかしこの数年は、ソーラーや風力からの受入れ電力が増えすぎていて、火力発電所の電圧調整も最大容量において電力会社側に限界が来ていますから、102Vを超えてしまわないように一部の受電を遮断し、電力の買い入れを止め始めている現状です。

今後、クリーンエネルギーを普及させるには、発電容量に見合った大容量のバッテリーシステムと組み合わせて、風力発電とソーラー発電は停電しない安定した電力供給システムで作らなければなりませんが、バッテリーの生産が追い付いていない現状が有ります。

ちなみに水力発電と原子力発電は、火力発電のようにリアルタイムに電力調整する事がほとんどできません。
日本での安価で高性能なバッテリーの大量生産は、あと数年かかりそうです。
そして九州沖と千葉沖に眠る海底油田からの天然ガス産出も急がれます。

2021年01月10日