これから始まる水素社会

                           2021.1.10

水素社会の方向性はCO2削減です。
自然エネルギーで発電された電力を、水の電気分解で水素、酸素、を作る事で結果的にCO2削減にはなります。

水素と酸素はそのまま火力発電所の燃料として使用したり、ガスタービンエンジンに使用したり、燃料電池によって直接発電ができるほかに、バッテリーと同じように、水素タンクにエネルギーを貯蔵する仕組みが成り立つ多様な燃料です。
そしてロケットの液体燃料でいち早く使い始めていました。

一般的な電解水から電気分解で水素と酸素を製造工程では、多くの電力が消費されて取り出した水素のエネルギー量は1/3から1/5のエネルギー分量しか出来ず、水素に変換すると大きなエネルギーロスになる事が分かってきました。

国内では、トヨタやホンダが発売した燃料電池車が出てきて水素社会が始まりましたが、水素はガラス製造や石油産業、製鉄所などの火力コンビナートでは、副産物として水素が出ます。北海道では主に室蘭の製鉄所で発生する水素を燃料電池車に使用しています。

ガソリンスタンドのエネオスに水素ステーションが出てきています。石油プラントでLPG(プロパンガス)から熱処理して水素を製造しています。

ホンダが完成したスマート水素ステーションは一番小さいコンテナくらいの大きさで、一日に燃料電池車1台分の水素を作る能力で燃料電池車に水素を供給します。
最近は他のメーカーも大きなコンテナ型のスマート水素ステーションを作り始めています。どれも3分前後で燃料電池車に充填できる高圧水素タンクになっています。

風力発電は風がやむと停電します、太陽光発電は夜に停電しますから最近はバッテリーに電気を貯蔵する施設が作られていますが、それでも過剰発電する事が日常的に起きてしまいます。
あるいは電力会社が自然エネルギーからの供給過剰で、電力会社側で電気を遮断する事が有りますから、その電力が無駄にならないように水素を作ります。ヨーロッパではその仕組みがうまくいっているようです。日本では福島の大きな設備で太陽光発電から水素を製造しています。

一方、水素は常温で液体の状態で貯蔵できるめどなど、すでに画期的な水素製造方法もいくつか目途が付いていますから、今後どう展開していくのか見守る必要があります。

燃料電池車のエネルギー変換効率は60パーセント前後ですが、日本の技術で更に高いエネルギー変換効率の目途が付いています。
ちなみに最先端技術のガス火力発電所で60~65パーセント、ガソリンハイブリットエンジンが40パーセント前後で、残りはいずれも熱損失として冷却設備が必要で、火力や原子力発電所はおおむね海の水で冷却しています。
水素と酸素のガスタービン発電は技術的な目途が付いていますが、これからは航空機も燃料電池でモーターを回すプロペラ機と水素燃料のジェットエンジンの開発が始まると思っています。

ドイツでは燃料電池の電車が運航し始めています。燃料電池のフォークリフトも活躍しています。すでに一般的な燃料電池技術ですが、エンジンと同じで、スタックの耐久年数とエネルギー変換効率の技術的な戦いになっています。
燃料電池のボトルネックは心臓部のスタックに酸化金属の高価な白金(プラチナ)の使用が有り高価です。
そんな中、トヨタは燃料電池車の技術を一般公開し始めていますが、ホンダは燃料電池車の技術を盗まれないように、リース販売のみにしている感じです。

燃料電池車と電気自動車の車社会の比較には、インフラ整備も含めてそれぞれの考え方が有って、時代の流れの中で考え方も変化していきます。一度はインフラ整備が手軽な電気自動車の時代が来て高性能なバッテリーが積まれる可能性が有ります。
燃料電池車は徐々にディーゼル車の大型トラックなどのクリーンエネルギー車として走り始めるのだと思っています。

最近、水素の生産方法には名前がついています。
天然ガスなどの化石燃料で製造する「グレー水素」
天然ガス以外の化石燃料をベースに作られる「ブルー水素」
太陽光や風力発電の再生可能エネルギーから作る「グリーン水素」
の3つに分けられて、後には、原子力発電から作られる水素も「グリーン水素」に分類することにしているようです。
今後はオーストラリアとロシアからの水素輸入計画が有り、世界貿易が始まります。

その他色々調べると、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンの燃料に混合して給油する水素系の燃料が出てきました。「eフューエル」と言うカーボンニュートラルな液体の合成燃料ですから、そのまま燃料給油が出来ます。

他には透明な液体で、水素とCO2を触媒反応で合成した液体燃料でドイツアウディーが先行して研究をしているのですが、日本でもトヨタ・ホンダ・ニッサンもすでに研究開発に本腰を入れているようです。


※余談ですが、
韓国ヒュンダイ自動車も燃料電池車の生産を始めています。
25年前、仕事で韓国に行ったときにいろいろな日本車がたくさん走っていたのですが、よく見るとどれもヒュンダイのエンブレムでラジエーターグリルとテールランプだけが少しデザインが違っていました。ボディーの設計は、どれも日本の車のフルコピーなのです。
僕は直感的に「この国にはピストンリングを作る技術は無いと思う」と疑問に思ったのですが、後になって分かりました。その時代の韓国の車には三菱のエンジンが積まれていたのです。
そして今は中国メーカーで作られる車のほとんどに三菱エンジンでパワートレーンが積まれていて、三菱エンジンは他の国へも出荷しているようです。
でも、古くから、いすゞ自動車のディーゼルエンジンもアメリカ車や多くの国へ、大量に輸出しています。

何時の時代も車産業は後出しじゃんけんです。先進国の性能の良い車をフルコピーすれば、複雑な強度計算や数種類もの衝突安全基準をそのままフルコピーできるからです。
でもバランスの取れたクランクシャフトや高精度なトランスミッション、耐久性のあるエンジン部品は簡単には作れません。中でもピストンリングはとても難しい技術なのです。
日本やドイツの車は、クレイモデルから始まる設計から発売までは2年から3年ですが、開発が遅ければ、発売した時点で時代遅れな車になるのです。

水素の危険性を持ち出す皆さんへ
都心部のはずれにとても大きな丸いガスタンクが民家に近い所にも設置されています。車は危険なくらい大量のガソリンを積んで簡単には止まれない速度で走っています。最近、韓国製電気自動車用バッテリーが火災になる事故が多発しています。毎年のようにどこかで旅客機が墜落しています。

他のページにも書いていますが、強力なエネルギーは危険です。飛行機や車社会も含めて私たちは危険性をある程度理解して、それをうまく利用して社会経済が成り立っているのです。