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小規模太陽光発電の設計
太陽光パネル2枚で非常用発電の実験)

2019年5月
有限会社 青木電気

仕事柄、新築住宅設備の太陽光システムの仕事をしています。仕事つながりで手に入った少し古い規格の250Wソーラーパネル2枚と、札幌市の施設で5年間使用していた6Vの120Ahの大きなバッテリー4個で、停電用の非常用電源を作ってみました。


気候が良い北海道は梅雨がないので、雨が降っても次の日には晴れていますから、プチソーラーシステムがいい感じなのです。
結果はとても良く、ニコニコしていたのですが、天気の良い日には一日3KWhもの発電をしてくれるので、この発電システムでお湯を沸かすとか日常的に利用が出来ないかなーと腕を組んで考えてみたのですが・・・

まずは自宅のエアコンで暖房してみたり冷房してみたりテレビの電源にしてみたりしました。
日差しが強い日にはエアコンもある程度OKでしたが、パネルがもう2枚(パネルの合計容量が1000W)必要です。冷蔵庫も試してみましたが、やはりパネルとバッテリーがもう少し必要でした。

今は50インチのテレビの電源に毎日使用していて、この太陽光発電システムでOKです。
なので,一日30円ほどの電力(一か月1000円)ほどの電力を、節約しています。

注意事項(実験でいろいろ分りました!)

ソーラー発電はとても不安定な発電システムです。暗くなると停電します。
でも、陽射しが強い日中の大きな起電力をある程度の大きなバッテリーに電力を蓄えて、一日中安定して電気を利用できるシステムを作って利用できます。

システムは、オームの法則に時間を足し引きする積算電力計算が必要です。
市販されている「カスタム・エコキーパー」や「ワットモニター」などで家電品の電力を調べてみると、インターバルに電力消費する冷蔵庫やエアコンは、トータル積算電力が意外と小さいことが分かります。特に電子レンジなどは大きな電力が必要なのですが、使用時間が短いので使えます。

設計プランは、使用する家電品のワット数と使用する時間をもとに、バッテリーの容量とソーラーパネルの起電力とソーラーチャージコントローラーの容量を設定します。


設計に当たっては知識をもって配線工事をしましょう。


12Vや24Vバッテリーなどの配線は、電圧が低いので電気工事士でなくても工事ができますが、電圧が低いのでとても大きな電流が流れるのです。電線の太さの選定や接続端子の施工などを間違えると、大電流による熱で、電線や接続部分の発熱による火災になってしまいます。

太陽光パネルの配線も含めてすべてが直流ですから、電線を活線で切断すると、電気溶接のような強力な火花が出て火傷をしてしまう危険性があります。気を付けて下さい。
12ボルトや24ボルトのバッテリーから家庭用100V交流電源を取り出せるインバーターのコンセントにおいても、接続する家電品が省電力な照明やテレビなどは良いのですが、電子レンジやヘアドライヤーなど、ほぼ1200Wの機器は、家庭用家電に使用する細い延長コードでは電線が熱をもって燃えてしまうので注意が必要です。
電線に流れる電流と電線の太さの規格は、電線火災を防止するとても大切な規格なのです。最大電流の規格は電線の種類によって大きく違いますから、ネットで調べるか専門家のアドバイスや工事をお勧めします。


ソーラーチャージコントローラーについて

ソーラーチャージコントローラーの選定はとても大事です。入力電力の最大電圧や出力電力の電圧と最大電流を決めて選定します。コントローラーは少し高価でも変換ロスの少ないMPPT型が良いです。

その役目は、ソーラーパネルからのとても不安定な電力をバッテリーに無理が掛からないようにしっかり電圧制御して充電をしています。
さらに、そのコントローラーの出力端子から出る電気は、バッテリーの電気を使いすぎてしまい、バッテリーがダメになってしまう事が無いように、バッテリーの最低電力を残して出力回路を遮断しています。
ちなみに、ソーラーチャージコントローラーを通さなくても、ソーラーパネルからの出力電圧がバッテリーの電圧よりも程よく高ければ、配線をそのままバッテリーに直結しても充電が始まりますが、バッテリーが痛み始めます。
たとえば車の発電機であるオルタネーターからの出力電圧は、エンジンの回転数が変わっても13.8ボルトを超えないようにバッテリーを傷めない出力電圧で設計されていて、バッテリーが長持ちしているのです。

ソーラーパネルコントローラーは、出来れば室内に取り付けて、常にパネルの起電力とバッテリーの残電力をモニターしながら使用します。
僕は、自作で居間にサブモニターを作りましたが、ソーラーパネルの起電力とバッテリーの電力管理はとても大事です。

ソーラーパネルは出力電圧が30ボルト以上のパネルであれば、24V型のソーラーチャージコントローラーで設計してください。接続するバッテリーも12Vのバッテリーを直列接続して、24Vバッテリーとして接続し、家庭用100V交流電源を取り出せるインバーターも24V入力の物でシステムを作ります。24Vシステムは12Vシステムに比べて電流値が半分ですから配線の太さが半分の太さで良いのですが、それでもかなり太い配線が必要です。

市販されているコントローラーは、一般的な鉛バッテリーの電圧で設計されていますから、デーブサイクルバッテリーやリチュームバッテリーを使用する場合は、対応するコントローラーを選んでください。

  • 少しですが、ネット販売されているソーラーチャージコントローラーに、壊れてしまうものが有りました。すでにネット上では販売していないものと、今でも販売されているものです。



家庭用100V交流電源(コンセント)を取り出せるインバーターは、余裕のある大きなものがお勧めします。

例えば北国で使用する灯油ストーブのほとんどは、着火の1分~2分だけ600W~900Wくらいの電力が必要です。できれば冬期間でも灯油ストーブが使える1000W以上のものがいいですね。
1500W~2000Wくらいのインバーターなら、夏の日差しの中でソーラーパネルの起電力とエアコン消費電力は同じくらいで設計であれば100Vエアコンもある程度OKです。電子レンジやハンドドライヤーを使用するときは、その他の電気の使用を停止してくださいね。合計の使用電力でインバーターの最大容量を超えないように使用します。

今どきは、正弦波出力の良質なインバーターが出回っています。出力コンセントの100Vの波形が理想的です。
でも、これまで出回っていた一般的な矩形波(テスターなどの電圧計で測定すると70V出力)の100Vインバーターでも、ほとんど問題なく使用していました。

  • 良質なインバーターは、内部に電子ブレーカーが内蔵されていて、電気を使いすぎると回路を切断し、自動復旧してくれますが、ヒューズ式の物は電気を使いすぎるとヒューズが切れます。(代わりのヒューズを買いに行きましょう!)



バッテリーについて

バッテリーの合計容量は、最低でもソーラーパネルの一日分の起電力を充電できるのが理想です。
僕のシステムは250Wパネル2枚なので、晴れた日には一日2KWh位の発電をしますから、2.8KWhのバッテリー容量です。でも、最初は使用する機器の分だけバッテリー容量が有れば良いです。
電子レンジやヘアドライヤーなど、ほぼ1200Wの機器を使用する設定であれば、バッテリーの合計容量は最低2000~3000Whの容量をお勧めします。


雨や雪の日と曇り空の日はソーラーパネルの起電力が小さいので、その分、設置しているバッテリーは更に大きくなければなりません。実際に利用してみてバッテリーの増設が必要になってきます。

  • デーブサイクルバッテリーは、不用意にバッテリー上がりになっても、しっかり性能が回復する優れモノなのでお勧めしますが、普通のバッテリーよりも動作電圧が少し高いです。
    なので、ソーラーチャージコントローラーとの組み合わせは、ディープサイクルバッテリー用の電圧設定ができるものを選んでください。そのままの接続では満充電にはなりません。さらに100Vインバーターもバッテリーからの異常電圧を感知して、作動しないものも有るのです。

  • 最近は、古いバッテリーでもバッテリーの極板のサルフェーションを除去して復活することが出来る充電器や、「リヴァゲイン」のような補充液でも効果が有って、古いバッテリーでもある程度再利用できたりします。でも、ひどく傷んでいるバッテリーではむりです。

  • 一度バッテリー上がりの状態になると性能が落ちてしまいます。その時は、最初にバッテリーを作るときと同じように、1週間がかりで処女充電をして性能を回復させます。

  • 冬季間、バッテリーが上がっていると中のバッテリー液が凍ってしまい、廃棄処分です。



ソーラーパネルについて

朝日や夕日でパネルに当たる太陽の向きが45度くらい横向きでも、かなり大きな起電力が有りました。
でも、ソーラーパネルはわずかな部分でも日影ができると、そのパネルの起電力が5分の一くらいになってしまいました。ほんのわずかな木陰でも大敵です。

冬、雪国は雪が積もってしまわないように、パネルに積もった雪がすぐに滑り落ちる傾斜で設置するのが大事です。僕のところは傾斜角度が40度くらいです。

ソーラーパネルはパネルの温度が上がると起電力が低下します。
実験でわかったのですが、春、まだ気温が低い季節の曇り空で、突然雲間からの日差しが入った時には、ソーラーパネルから規格通りの大きな起電力を計測しました。ソーラーパネルが冷えていて、陽射しが当たった時に最大電力が発生しますから、パネルを設置するときには、パネルの裏側が風通しの良い設計で作ることも大事です。
暑くて触れないほどパネルの温度が上がっていると、起電力は70%くらいまで下がってしまうようです。

なので、気温が低めの北海道はパネルの温度が低いので、ソーラーパネルの起電力が上がります。

  • 地面や車庫の屋根の設置場所が低い所にソーラーパネルを取り付ける時には、あまり傾斜角度が有ると、日差しが高い真夏の時期にソーラーパネルの反射する光が隣の家の窓を照らしてしまい、苦情が出た事例が有ります。取り付け位置と角度は要チェックです。



番外編として、
停電用の住宅用非常電源としては、ジャンクのUPSも良いのです。
パソコンの非常電源として利用しているUPSは停電用電源として、そのまま使えるのです。
UPSの中に小さなバッテリーが入っていますが、(ジャンク品はそのバッテリーが弱くなっています)そのバッテリーをやめて、大きなバッテリーを外部に取り付けるだけで良いのです。
そのままパソコンの電源として利用しても良いですし、そのバッテリーの容量が無くなるまで長時間LED照明を点灯できます。

  • UPSは急速充電ができないので、ソーラーシステムとして利用するには新たなバッテリーの充電回路を設計しなければなりません。

  • 出回っているLED照明は省エネです。およそ60Wの電球の明るさのLEDは、消費電力が5W位なので、これまでの蛍光灯器具についている常夜灯(なつめ球)と同じなのです。
    使用するのがLED照明だけなら、バッテリーで何日も光りつづけます。

  • このシステムで電気を売電する事は出来ません。電力会社へ発電所事業所として申請が必要です。自宅の分電盤を売電用に変更です。電力会社の電源周波数の50Hzや60Hzにシンクロ(同期)させる高価なパワーコントローラの取り付けが必要です。発電した電気の売電価格は10年前に比べがっかりする売電価格ですから、一般集宅でも少しずつ自宅にバッテリーを設置する時代になります。




後書き

2019年の年末から電力会社との契約切れで10年を過ぎた古いソーラーパネルが安価な価格で出回る時代が始まります。まだ十分使うことができますが、コネクターの形が違ったり、出力電圧が60V位のものも有りますから、高い電圧に対応したソーラーチャージコントローラーを選んで使用します。
古いソーラーパネルは表面の汚れで起電力が下がっています。一度きれいに汚れを落として使います。

郊外にちょっとしたソーラー電源による防犯設備の付いたセルフ電化住宅はいかがでしようか。
のどかな景色の中に手作りの小さな隠れ家も、手軽な趣味で良いかもしれませんね!